グリーン水素と製造業脱炭素――P2Gとスマートエネルギーが変える産業の将来

ロシアのウクライナ侵攻により世界のエネルギー安全保障が危機に陥る中、日本を含む各国でグリーン水素による脱炭素とエネルギー自立の動きが加速している。製造業における水素活用と再生可能エネルギーの統合が、GX(グリーントランスフォーメーション)の核心テーマとなっている。

グリーン水素が製造業を脱炭素化する道筋

日本政府は「水素社会推進法」(2023年施行)に向けた法整備と、再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」の量産化支援に2兆円超の資金を投入する計画を発表。旭化成は宮崎県日向市でのグリーン水素量産拠点「ハイドロノバ」の実証を開始。JFEスチールと日本製鉄は高炉への水素還元製鉄技術の実用化を2030年代に目指す計画を具体化した。製鉄所からのCO2排出は日本の産業部門全体の約40%を占めており、この転換の意義は計り知れない。

P2G(Power to Gas)とエネルギー貯蔵で変わるスマートエネルギー

余剰再生可能エネルギーで水素を製造し長期貯蔵・輸送するP2G(Power to Gas)技術の実証が各地で進んでいる。北海道では風力発電と電解槽を組み合わせたP2Gシステムが稼働を開始。燃料電池(FC)と蓄電池を組み合わせたハイブリッド電源システムが工場の非常用電源として普及し始めており、停電リスクへの対応力と脱炭素を同時に実現できる点が注目されている。

Harryの着眼点

水素は「最後の切り札」だと私は考えている。特に鉄鋼・化学・セメントなど脱炭素が困難な「ハードトゥアベイト」産業において、水素は唯一現実的な解決策だ。ただし現時点でのグリーン水素コストは高く、政府支援なしに市場化は困難だ。日本が水素技術で世界をリードできるかどうかは、今後10年の政策と産業投資の積み上げにかかっている。

出典:経済産業省「グリーンイノベーション基金 水素サプライチェーン事業」、IEA「Global Hydrogen Review 2022」

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