再生可能エネルギーで製造したグリーン水素を製造プロセスに活用する取り組みが、鉄鋼・化学・セメントなどの難脱炭素産業で本格化している。2030年を見据えた実用化競争が世界で激化している。
鉄鋼での水素還元製鉄が脱炭素のゲームチェンジャー
鉄鋼業は製造業の中で最もCO2排出量が多い産業の一つだ。従来の高炉製鉄はコークス(石炭由来)を還元剤として使うが、これを水素に置き換える「水素還元製鉄」が脱炭素の切り札として注目される。日本製鉄はJFEスチールと並んで水素還元技術の開発を加速しており、2030年代の商用化を目指している。欧州ではSSABがグリーン鉄鋼「HYBRIT」の試験生産を開始した。
日本政府のグリーンイノベーション基金が後押し
日本では経済産業省が2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」を設立し、水素・燃料電池技術の開発を重点支援している。川崎重工業はオーストラリアとの国際水素サプライチェーン実証に取り組み、IHIは工業炉の水素混焼技術を開発中だ。グリーン水素のコストが現在の5分の1以下に低減すれば、製造業の脱炭素は大きく加速するとの試算もある。
Harryの着眼点
水素は「究極のクリーンエネルギー」と言われながらも、コストと輸送インフラが長年の壁でした。しかしウクライナ危機によるエネルギー安全保障の問題と脱炭素の要請が重なり、日本政府と産業界の本気度が変わってきたと感じます。水素社会実現には20〜30年単位の持続的投資が必要ですが、その方向に舵を切ることは正しいと思います。
出典:経済産業省「水素基本戦略」改訂版2023年、日本製鉄株式会社サステナビリティレポート2022