EV電池のリサイクルが製造業の新ビジネスに——サーキュラーエコノミーが「廃棄物」を「資源」に変える

2024年、電気自動車(EV)の普及に伴い使用済みEV電池のリサイクル・再利用ビジネスが本格化した。製造業にとって廃棄物だったEV電池が「都市鉱山」として価値を持ち、新たな産業エコシステムが形成されつつある。

EV電池リサイクルの市場規模と主要プレイヤー

BloombergNEFの予測では、2030年のEV電池リサイクル市場は世界で180億ドルに達する。主要なアプローチは「第二の人生(Second Life)」—電池容量が80%以下になったEV電池を家庭用・産業用蓄電システムとして再利用する—と「リサイクル」—コバルト・ニッケル・リチウムを回収・精製して新電池製造に戻す—の2つだ。日産自動車はリーフの使用済み電池を街灯・農業用蓄電システムに再利用するビジネスを日本・欧州で展開。トヨタはパナソニックと合弁でPrime Planet Energy & Solutionsを通じ、電池リサイクルの統合サービスを開始した。

電池リサイクルが製造業のサプライチェーンを閉じる

電池リサイクルは製造業のサプライチェーンを「線形(採掘→使用→廃棄)」から「循環(採掘→使用→回収→再利用→再使用)」に変える。戦略物質であるレアメタルを国内循環できることは、資源調達リスクの低減にも直結する。JXTGエネルギー(現ENEOS)は2024年に年間2万トンのリチウムイオン電池リサイクル能力を持つ工場を竣工。コバルト回収率95%超を達成し、「都市鉱山から採れるコバルトのコスト」がチリからの輸入コストを下回り始めた。

Harryの着眼点

EV電池リサイクルは「廃棄物管理」ではなく「製造業の新たな事業領域」です。日本の精密加工・化学技術はリサイクルプロセスの高効率化に貢献できる強みがあります。サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行は義務ではなく機会——電池リサイクルで先行する企業が、EV時代のサプライチェーンで戦略的なポジションを確立できると確信しています。

出典:BloombergNEF「EV Battery Recycling Market Outlook 2024」/ 日産自動車「使用済み電池Second Lifeプログラム」/ ENEOS「電池リサイクル工場竣工」プレスリリース2024年

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