水素製鉄が商業化へ——日本製鉄・JFEの「ゼロカーボン・スチール」2030年計画

鉄鋼業は世界CO2排出量の7〜8%を占める最大の産業排出源のひとつだ。日本製鉄とJFEスチールが更新した「カーボンニュートラル・ロードマップ」は、水素直接還元製鉄により2030年までに30%削減、2050年にゼロ達成を目指す。

水素還元製鉄の技術的現状と課題

水素直接還元製鉄(HDRI)では還元剤として水素を使うため排出物が水になる。日本製鉄は東日本製鉄所で試験炉「COURSE50」を稼働させ、水素比率20〜30%での高炉操業に成功した。しかし課題は「グリーン水素のコスト」で、現状では製造コストが従来鉄鋼の2〜3倍になるため、政府支援と炭素税の整備が商業化の前提条件となる。ENEOSと日本製鉄が共同で「水素バリューチェーン構築計画」を発表、2030年に年間100万トンの水素供給体制を整備する計画だ。

EU Carbon Border Adjustment Mechanismの影響

EUのCBAMが2026年から本格稼働し、高炭素鉄鋼への関税が課されるため、輸出向けの日本鉄鋼に脱炭素化の圧力が高まっている。JFEスチールはGreen Steel戦略で電炉転換と水素活用を組み合わせ、2030年に向けた設備投資計画を公表している。

Harryの着眼点

水素製鉄は技術的には可能であることが証明されました。残る問題はコストとインフラです。グリーン水素のコストが2030年に現在の3分の1まで下がれば商業ベースに乗る計算が成り立ちます。鉄鋼業の脱炭素化は「2050年の夢」ではなく「2030年の現実課題」になってきました。

出典:日本製鉄「2030年カーボンニュートラル・ロードマップ」2024年3月 / JFEスチール「Green Steel戦略」2024年 / EU「CBAM規則」2023年

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