中央集権的なデータレイクに代わる新たなデータアーキテクチャとして「データメッシュ(Data Mesh)」が注目を集めている。製造業のように多拠点・多部門にわたるデータを効率的に活用するアプローチとして期待される。
データレイクの限界とデータメッシュが解決する課題
従来のデータレイクは全社のデータを一カ所に集める「データの湖」だが、データが巨大化するにつれ管理が困難になり「データの沼」と揶揄されることも多い。データメッシュはドメイン(工場・営業・調達など各部門)ごとにデータを管理する「分散型」アーキテクチャを採用する。各ドメインがデータの所有者(オーナー)となり、標準化されたAPI経由で他ドメインにデータを提供する。
製造業でのデータメッシュ実装——ピルキントンの成功事例
ガラスメーカーのピルキントン(NSG Group傘下)は製造・販売・調達の各部門がそれぞれのデータプロダクトを管理するデータメッシュを実装し、レポーティング速度を10倍向上させた事例が報告されている。日本でも大手化学・電機メーカーがデータメッシュの試験導入を始めており、部門横断のデータ活用文化の醸成と組み合わせて取り組んでいる。
Harryの着眼点
データメッシュは技術論より組織論の問題です。「全社のデータを一元管理する専門チームに委ねる」モデルがスケールしないことは多くの企業が経験しました。各部門がデータオーナーとして責任を持ち、他部門が使えるようにするという考え方は、製造業の「現場主権」と相性がいい。データの品質と利活用のバランスをどう保つかが実装の鍵です。
出典:Zhamak Dehghani「Data Mesh: Delivering Data-Driven Value at Scale」O’Reilly 2022年、日経クロステック「データメッシュ最前線」2022年