近距離調達(ニアショアリング)が加速——リショアリングとの使い分けが鍵

中国依存からの脱却と地政学リスク回避を目的に、製造拠点をより地理的に近い国・地域に移転する「ニアショアリング(Near-shoring)」が2023年に加速している。リショアリング(本国回帰)との戦略的使い分けが求められる。

メキシコ・ベトナム・インドへのシフトが加速

米国企業は中国からメキシコへの生産移転(「フレンドショアリング」)を加速させており、2022年のメキシコへの製造業外国直接投資は過去最高を記録した。日本企業もASEAN(特にベトナム・タイ)への生産分散を急ぎ、一部ではインド向けの新たな投資も増加している。AppleがiPhoneの一部をインドで製造し始めたことは象徴的な出来事として世界の注目を集めた。

ニアショアリングの課題——インフラ・人材・コスト上昇

ニアショアリングは理念的には正しいが、現実の課題も多い。メキシコ・ベトナムの電力・物流インフラは中国に比べ未整備な部分が残る。熟練した製造人材の確保も容易ではなく、人件費も中国の上昇に伴い差が縮まっている。日本企業の場合、中国での長年の投資・人材・サプライヤーネットワークを一朝一夕には移転できない「中国撤退コスト」も現実的な壁だ。

Harryの着眼点

サプライチェーンの「中国プラスワン」戦略は今や常識ですが、どこへ移転するかは慎重な判断が必要です。単に「中国依存を減らす」ではなく、製品・顧客市場・物流効率・政治リスクを総合的に評価した戦略的選択が求められます。ニアショアリングは地政学的安心感を買う側面もあり、短期ROIだけで判断できない複雑な経営判断です。

出典:Reshoring Initiative「2022 Data Report」、JETRO「2022年度対日直接投資報告書」

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