日産自動車と神戸製鋼所とインダストリー4.0
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日産自動車 神戸製鋼所 インダストリー4.0

この3つのキーワードはどう結びつくのだろうか?
前2つのキーワードからは、最近のニュースで騒がれている完成検査の不備・鋼材スペック偽装問題を思い浮かべるでしょう。
これら2社の事件に共通して言えることは、完成検査の管理・記録やスペック(仕様書)の書面の準備に人間が介在していること。
生産したモノ自体は、私はそれほど落ち度や粗悪品があるとは思わないのであるが、それが確実であることを証明する手だてがあやふやになってしまっていることにより、これらがより大きな問題になってしまっているのであろう。

日産の場合は、そもそも誰が検査したのか、検査した証明が公認検査員から借りたハンコであり、誰でも可能で誰がやったかの裏付け不可能であったということ。そこにはは法令違反ではあるが、スペックは満たしているという認識が社長会見からもうかがえる。
また神鋼の場合は、スペック(仕様書)の作成や品質検査自体が人間の手で行っているために改ざんは容易で、組織内での承認や履歴管理もおそらく曖昧であったこと。それが誰がいつからどこでやっていたのかの証拠もはっきりさせられない為、最悪の場合は該当する車や製品の全回収・リコールへと発展しうるという事。そこにはスペックを偽装しているが法令違反であるという認識はないようである。

スペック=顧客へのコミットメントであり、また法令順守=社会へのコミットメントであるので、これらを欺いた行動への罪は大きい。
どちらにも言えるのは、結果人による曖昧さやいいかげんさを組織が(システムが)許し続けた結果が招いた末路であろう。

今回の問題では、日本のモノづくりの根幹が揺らいでいる、といった記事やコメントを多く目にするが、ではそれはどうやって回避するのだろうか?
それを考えるうえで、インダストリー4.0の考え方にヒントがあると思います。

インダストリー4.0では、生産工程に特化しているのであるが、人間の技能に頼らない自動化や結果のデータ化・工程のトレーサビリティ化が取り入れられる。その為、基本は「人間を信用しない」という性悪説に基づいているので、逆に言えば間違った(認定のない)作業員はそもそも検査作業をシステムが認めないとか、検査工程や結果はすべてシステムで行い作業履歴がすべてデータとして記録される様なシステムを作りこむのがインダストリー4.0の肝となる。

例えば作業員にRFIDやロケーションタグを持たせてシステムが人の動きを管理する、検査はすべて自動で行う、作業履歴やレポートはすべてデジタルで記録など、人的由来による曖昧さやミスをシステムで防ぐような工夫を作りこむ事によって、日本のモノづくりの強化を図ってもらいたいものだと願う今日この頃です。