2022年初頭、世界のサプライチェーンはコロナ禍からの回復途上にあった。一方で地政学リスクへの懸念が高まり、製造業は「効率最優先」から「レジリエンス優先」への戦略転換を迫られている。デジタル技術によるサプライチェーンの可視化と多元化が経営の最重要テーマとなった。
デジタルサプライチェーンタワーが変える調達管理
ガートナーが提唱する「デジタルサプライチェーンタワー」は、IoTセンサー・AI・衛星データを統合してサプライチェーン全体をリアルタイムで監視・予測・最適化するコンセプトだ。P&G、ユニリーバ、フィリップスが先行採用し、需要変動への対応スピードを従来比5倍に高めた。マッキンゼーの調査では、デジタルサプライチェーンを構築した企業は在庫水準を30%削減しながら顧客サービス水準を15%向上させているとされる。
リショアリングとサプライチェーン多元化のデジタル支援
日本政府の「重要物資の供給網強化」政策と連動し、半導体・医薬品・希少金属のサプライチェーン国内回帰とアジア多元化が急ピッチで進んだ。デジタルツールによるサプライヤーリスク評価プラットフォームの需要が急増し、Riskmethods(後にWayfair傘下)やInteros、Resilincなどのサプライチェーンリスク管理SaaSが注目を集めた。
Harryの着眼点
コロナ禍のサプライチェーン混乱が終わらない中、ウクライナ問題が新たなリスク要因として浮上しつつある。「見えないリスク」を「見えるリスク」に変えるデジタルサプライチェーンの構築は、もはや大企業だけの課題ではない。日本の製造業が強靭なサプライチェーンを持つことは安全保障問題にも直結している。今こそデジタル投資を加速すべき時だ。
出典:Gartner「Predicts 2022: Supply Chain Technology」、マッキンゼー「Supply Chain 4.0」レポート