ゼロトラストアーキテクチャが製造業に浸透——NIST SP800-207の実装が加速

「何も信頼しない」を原則とするゼロトラストセキュリティアーキテクチャの製造業への適用が2023年に本格化している。米国NISTが策定したSP800-207ガイドラインを参考に、日本の製造業でも実装事例が増えている。

ゼロトラストの5原則——製造業への適用方法

ゼロトラストの本質は「境界防御(ファイアウォール内は安全)」という前提を捨て、すべての通信・アクセスを検証することだ。①IDとアクセス管理の厳格化、②エンドポイント保護、③ネットワークセグメンテーション、④データ暗号化・分類、⑤継続的監視——の5原則を製造現場のOT/ITハイブリッド環境に適用する必要がある。特にレガシーPLCなど認証機能を持たない機器をゼロトラスト環境に組み込む方法が課題だ。

マイクロセグメンテーションでOTネットワークを守る

製造現場のOTネットワークをゼロトラスト化する有効手法が「マイクロセグメンテーション」だ。ネットワークを細分化して各セグメント間の通信をポリシーで制御し、1カ所への侵入が全体に拡大するのを防ぐ。クラロティ・テナブル・パロアルトネットワークスなどがOT向けゼロトラストソリューションを提供しており、トヨタグループをはじめとする大手製造業での採用が広がっている。

Harryの着眼点

ゼロトラストは概念としては正しいですが、製造現場への実装は容易ではありません。何十年も動かし続けてきた設備に認証・暗号化を後付けすることの困難さは、IT部門の人には想像しにくい。製造現場の実情に詳しいOTエンジニアとITセキュリティ専門家の協働なしに、真のゼロトラスト実装は不可能だと思います。この両者を架け橋するプロフェッショナルの育成が急務です。

出典:NIST「Special Publication 800-207 Zero Trust Architecture」2020年、パロアルトネットワークス「製造業OTセキュリティ実装ガイド」2023年

コメントを残す