クラウドIoTプラットフォームが工場を繋ぐ――AWS・Azure・Googleのスマートファクトリー戦略

製造業のIoT化において、膨大なセンサーデータを収集・処理・分析するためのクラウドプラットフォームの選択が重要な意思決定となっています。AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の3大クラウドプロバイダーが製造業向けのIoTサービスを競い合う中、国内製造業は自社のニーズに合わせたプラットフォーム選定を迫られています。

3大クラウドの製造業向けIoTサービス比較

AWSの「AWS IoT Core」は、数十億ものデバイスを接続できるスケーラビリティと豊富なマネージドサービスが強みです。工場向けには「AWS IoT SiteWise」でPLCなど産業設備からのデータ収集を容易にし、「AWS IoT Greengrass」でエッジコンピューティング機能を提供しています。MicrosoftのAzureは「Azure IoT Hub」と「Azure Digital Twins」を組み合わせたスマートファクトリーソリューションが充実しており、ERPとの連携ではSAP・Microsoft Dynamicsとのエコシステムが強みです。Google Cloudは製造業向けの「Manufacturing Data Engine」と「Manufacturing Connect」を提供し、Vertex AIを活用した高度な機械学習モデルの構築・展開が容易な点が差別化ポイントです。国内製造業では既存システムとの相性やサポート体制から、Azureを選択するケースが増えています。

クラウドIoTプラットフォーム活用の成功パターン

製造業でのクラウドIoTプラットフォーム活用の成功パターンとしては、①小規模実証(PoC)から始め段階的に拡大する、②パイロット工程・設備を絞って早期に効果実証する、③IT・OT部門が共同でアーキテクチャを設計する、④ベンダーの参照アーキテクチャ(AWS Well-Architected for IoT等)を活用する、が挙げられます。旭化成は自社の化学プラントにAWSを活用したIoT基盤を構築し、設備の稼働データリアルタイム分析と予知保全の実現に成功。月次での計画保全から事前予測対応型に転換したことで、設備停止損失を年間40%削減したと報告しています。国内SIerではNTTデータ、NEC、富士通がクラウドIoT導入の支援サービスを強化しています。

Harryの着眼点

クラウドIoTプラットフォームの選定は技術的な問題だけでなく、ベンダーとの長期的なパートナーシップの問題でもあります。重要なのは「ベンダーロックインのリスク管理」で、データをオープンフォーマットで管理し、複数クラウド間での移行可能性を確保しておくことが重要です。また、製造業の場合はエッジ(工場内)とクラウド(社外)のハイブリッド構成が一般的なため、レイテンシーとセキュリティのバランスを考慮したアーキテクチャ設計が不可欠です。まずは「データ収集と可視化」から始め、徐々に分析と自動化に発展させていく段階的アプローチをお勧めします。

出典:AWS「AWS IoT for Manufacturing」ソリューション資料2021年 / Microsoft「Azure Industrial IoT ガイド」2021年

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