カーボンフットプリント計測と開示義務化――Scope3の見える化が製造業の競争軸になる

気候変動対応の国際基準が厳格化する中、製造業のCO2排出量(カーボンフットプリント)の計測・開示・削減が法的義務としての色合いを強めている。EUのCBAM(炭素国境調整メカニズム)の移行期間開始(2023年10月)を前に、製造業のGHG排出量の精密な把握と削減計画の策定が急務となっている。

スコープ3排出量の可視化が製造業の最難関課題

企業のGHG排出量はScope1(自社の直接排出)、Scope2(購入エネルギー)、Scope3(バリューチェーン全体)に区分される。製造業でとりわけ課題なのはScope3で、原材料調達から製品廃棄まで含む排出量の把握は従来ほぼ不可能だった。SupplyShift、Salesforce Net Zero Cloud、SAP Sustainability Control Towerなどのデジタルプラットフォームがサプライチェーン全体のScope3排出量をデジタル算定するソリューションを提供し、導入需要が急増している。

カーボン開示基準のグローバル統一化が進む

ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が2022年に設立され、企業のサステナビリティ情報開示(IFRS S1・S2)の国際標準化が開始。2023年以降、大手製造業は気候変動リスクと排出量の開示をIFRS S2に準拠した形で行うことが求められる。証券取引所のESG情報開示要請と相まって、製造業のCFO・CSO(最高サステナビリティ責任者)がカーボン管理のデジタル化に巨額投資を始めている。

Harryの着眼点

カーボン計測の精緻化は、製造業にとって「コンプライアンスコスト」から「戦略的競争力」へとパラダイムが変わりつつある。自社製品のカーボンフットプリントが低いことを証明できれば、欧州・米国市場での競争優位につながる時代が来た。デジタルツールによるScope3の見える化に今から取り組む企業が、2030年代の製造業を席巻するだろう。

出典:ISSB「IFRS S1・S2 公開草案」(2022年)、EUタクソノミー規制、経済産業省「GHG排出量算定・報告ガイドライン」

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