AIチップ競争とエッジインテリジェンス――製造現場でAIが自律動作する時代へ

AI推論をクラウドではなく端末・エッジで実行するための専用AIチップ(NPU: Neural Processing Unit)の競争が2022年に激化した。NVIDIAのJetson Orin、インテルのMovidius、クアルコムのSnapdragon Compute Platform、グーグルのEdge TPUなど各社がエッジAI向け半導体を投入し、製造現場のリアルタイムAI推論能力が飛躍的に向上している。

AIチップ競争が加速するエッジAIの普及

NVIDIA Jetson Orin(最大275 TOPS・2022年発売)はエッジAIの処理能力を前世代比8倍に高め、製造ラインの高速外観検査・ロボット制御・自律移動ロボットに搭載され始めた。インテルはMovidius VPUとOpenVINOツールキットの組み合わせで既存カメラをスマート化する低コストエッジAIソリューションを提供。製造業向けエッジAIカメラの価格帯が2020年比で半分以下になり、中小製造業への普及が加速している。

製造現場特化型AIチップが登場

三菱電機とNECが製造現場の検査・制御用途に特化した産業用AIチップの開発プログラムを発表。キーエンスはエッジAI搭載の次世代画像センサーを市場投入し、ティーチングなしで自動的に検査パラメータを設定する機能が製造現場での採用を加速させている。AIチップの低消費電力化も進み、バッテリー駆動のポータブルデバイスでもリアルタイムAI推論が可能になった。

Harryの着眼点

AIチップの競争が製造業にもたらす本質的な意味は「AIがクラウドに依存せず現場で自律動作できる」ことだ。通信切断時でもAIが機能し続け、プライバシー保護や低遅延が実現できる。製造現場の「AIの現場化」が完成に向かう段階に入っており、AIをクラウドだけで語る時代は終わった。エッジAI投資の観点から、日本の製造装置メーカーにも大きなビジネスチャンスがある。

出典:NVIDIA「Jetson Orin発表」(2022年)、IDC「Worldwide Edge AI Semiconductor Forecast 2022-2026」

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