2023年12月、ドバイで開催されたCOP28で「再生可能エネルギー3倍・省エネ2倍」の目標が196カ国により合意された。製造業は世界のCO2排出量の24%を占める最大排出セクターであり、この目標達成には製造業の抜本的な変革が不可欠だ。
COP28合意が製造業のカーボン戦略に与える影響
「2030年までに再生可能エネルギーを3倍、省エネ速度を2倍」という目標は、製造業に具体的な数値コミットを迫る。IEA(国際エネルギー機関)の分析では、製造業が目標に沿って削減するには、鉄鋼・化学・セメントの3大多排出産業で水素活用・CCS(炭素回収)・電化の組み合わせが必須だとされる。日本の鉄鋼大手・日本製鉄は2030年に向けた「ゼロカーボン・スチール」ロードマップを公表、水素還元製鉄技術への1兆円超の投資を明示した。
スコープ3開示義務化が日本サプライチェーンに与える波紋
欧州では2024年から大企業にスコープ3(バリューチェーン全体の排出量)の開示が義務化される。これは日本の中小サプライヤーにも影響し、取引先から排出量データの提供を求められるケースが急増している。パナソニックはサプライヤーに対してCO2排出量の電子申告システム「Green Impact」の導入を2024年度中に義務化すると通達した。
Harryの着眼点
COP28で決まった目標は、製造業にとって単なる環境問題ではなく「ビジネス存続の問題」です。欧州のスコープ3開示義務化は、日本のサプライヤーが欧州企業と取引を継続するための「入場料」になりつつある。カーボンニュートラルへの対応が遅れると、グローバルサプライチェーンからの排除というリスクが現実になります。
出典:COP28「UAE Consensus」2023年12月 / IEA「Net Zero by 2050: Manufacturing sector」/ 日本製鉄「カーボンニュートラルへの取り組み」2023年