製造現場から日々発生する膨大なビッグデータを活用した「予知保全(Predictive Maintenance)」が、設備の突発停止を事前に防ぐ切り札として広がっている。生産ラインのダウンタイムを大幅に削減する効果が実証されている。
予知保全の仕組み——センサーデータとAIで故障を先読み
設備に取り付けた振動・温度・電流センサーのデータをリアルタイムで収集・分析し、正常な稼働パターンからの逸脱を機械学習で検知する。これにより実際に故障する数週間前に異常の兆候を捉え、計画的なメンテナンスを実施できる。GEはこのアプローチで航空機エンジンのメンテナンスコストを25%削減し、予期せぬ欠航を大幅に減らした。
国内製造業でも成果——オムロン・安川電機が実績を発表
オムロンは自社工場に導入した予知保全システムで設備の突発停止を70%削減し、生産効率を15%向上させたと発表した。安川電機もサーボモーターの稼働データを遠隔監視する「i³-Mechatronics」で製造ラインの最適化を支援している。中小企業向けには、IoTセンサーとクラウド分析をパッケージ化した低コストの予知保全サービスも登場している。
Harryの着眼点
日本の製造業は世界最高水準の「現場力」を持ちながら、その現場で生まれる膨大なデータを活かし切れていません。センサーでデータを取るだけでなく、そのデータを意思決定に使う「データドリブン」の文化が必要です。予知保全はその入門として最もROIが出やすい分野であり、まずここから始めることをお勧めします。
出典:オムロン株式会社「製造業IoTソリューション事例集」2022年、McKinsey & Company「Industry 4.0: Reimagining manufacturing operations after COVID-19」