2024年、協働ロボット(コボット)と自律移動ロボット(AMR)が融合した「モバイルマニピュレーター」が製造業に本格投入され始めた。固定されたアームロボットが「歩き回れる」ようになることで、製造現場の自動化領域が大幅に拡大する。
モバイルマニピュレーターの技術進化と主要プレイヤー
Boston Dynamicsの「Spot」にアーム装備したモデルが工場巡回点検で実用化され、ABBとMobile Industrialrobotsが共同開発した「GoFa Mobile」が2024年春から出荷開始した。日本ではパナソニック製AMRにユニバーサルロボットのUR10eを搭載した「複合型ロボット」が、シャープの亀山工場で電子部品の搬送・組立に投入されている。移動速度は1.5m/s、アームのリーチは1.3m、最大ペイロード10kgで、人間の「作業しながら歩く」動作を代替する。
フレキシブル生産への対応として広がる導入
モバイルマニピュレーターが最も活用されるのは「多品種少量・頻繁な段取り替え」の環境だ。固定ロボットは段取り替えのたびにプログラム修正と位置調整が必要だが、モバイルマニピュレーターはAIビジョンで作業対象を認識して自律的に適応する。キーエンスの調査(2024年版)では、コボット導入企業の次の課題として「搬送との一体化」を挙げた企業が63%に上り、モバイルマニピュレーターへの需要の大きさが示された。
Harryの着眼点
「動かないロボット」から「動くロボット」への転換は、製造自動化の概念を根本から変えます。これまで工場の自動化エリアと人間エリアは分離していましたが、AMR+コボットが組み合わさると、その境界が溶けていく。特に多品種少量生産を得意とする日本のものづくりには、この「フレキシブルなロボット」が必要でした。2024年はその本格普及の年になると確信しています。
出典:ABB・Mobile Industrial Robots「GoFa Mobile」発表2024年 / パナソニック「複合型ロボット実証」プレスリリース2024年 / キーエンス「ロボット活用動向調査2024」