製造業脱炭素とデジタル技術――カーボンニュートラル実現へのロードマップ

2021年11月のCOP26(グラスゴー気候変動会議)を前に、製造業の脱炭素化に向けた動きが急加速している。日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言(2020年10月)を受け、自動車・鉄鋼・化学など排出量の多い産業が具体的なロードマップを策定し、デジタル技術を活用したCO2削減に本格着手し始めた。

製造業の脱炭素を加速するデジタル技術

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とAIを組み合わせた工場の電力最適化が注目を集めている。シーメンスのEnergyIPプラットフォームやシュナイダーエレクトリックのEcoStruxureを活用した工場では、エネルギー消費量を最大30%削減した事例が報告された。日立製作所は自社工場でのCO2排出量をIoTとAIで可視化し、再生可能エネルギーの最適導入計画を立案するシステムを開発。製造プロセスのデジタルツインを用いたCO2削減シミュレーションも普及しつつある。

水素・再エネと製造業のエネルギー転換

グリーン水素を製造プロセスに活用する実証実験が鉄鋼・化学分野で相次いで開始された。JFEスチールと日本製鉄が水素還元製鉄技術の実証に着手。化学メーカーの三菱ケミカルと旭化成も、電解槽(エレクトロライザー)を活用したグリーン水素製造の大型プロジェクトを発表した。企業のCO2排出量をサプライチェーン全体で可視化・管理するソリューションへの需要も急増している。

Harryの着眼点

カーボンニュートラルは製造業にとって「コスト要因」から「競争優位の源泉」へとパラダイムが変わりつつある。欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)が現実化すれば、脱炭素の遅れは関税という形で直接ビジネスに打撃を与える。デジタル技術でCO2を可視化し、削減目標を科学的に管理するアプローチを今すぐ始めることが、日本の製造業にとって喫緊の課題だと強く感じている。

出典:日本政府「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月改訂版)、COP26グラスゴー合意文書

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