製造業のAI活用が進む中、「AIの精度が思ったほど上がらない」という声が増えている。その多くは「データ品質」の問題が根本原因だ。2024年、データ品質管理(DQM)が製造業DXの最重要課題として浮上している。
製造業データの品質問題の実態
PwCの「製造業データ品質実態調査2024」では、製造業のデータサイエンティストの82%が「業務時間の半分以上をデータクリーニングに費やしている」と回答した。問題の内訳は「欠損値(35%)」「フォーマット不統一(28%)」「重複データ(22%)」「タイムスタンプ不整合(15%)」が主要因だ。特に深刻なのは、設備から収集したセンサーデータと生産実績データのタイムスタンプが数秒から数分ずれているケースで、これがAI予測モデルの精度低下の主因になっている。
データ品質管理ツールと自動化の最前線
Great Expectations、Soda Core、Alationといったデータ品質管理ツールが製造業向けに拡充されている。Microsoftは「Fabric」プラットフォームに製造業向けデータ品質チェック機能を統合し、センサーデータの異常値・欠損値を自動検出・補完する。日本ではセールスフォースとダッソー・システムズが共同で「製造業データ品質AI」を開発、設備台帳・生産実績・品質記録の自動整合チェック機能を2024年下半期にリリース予定だ。
Harryの着眼点
「AIに使えるデータ」を作ることが、実はAI導入の最大の難関です。データクリーニングは地味ですが、これをやらないとAIは動かない。製造業は設備・生産・品質・物流と多様なデータを持っていますが、それらが「バラバラに生まれ、バラバラに管理されている」という問題があります。AI活用の前にデータガバナンスを整えることが、成功への近道です。
出典:PwC「製造業データ品質実態調査2024」/ Microsoft「Fabric for Manufacturing」2024年 / Great Expectations「Data Quality in Manufacturing」レポート2024年