製造業DXガバナンス――CDOと組織変革が成否を決める時代

技術の導入だけではDXは成功しない。2021年を振り返ると、デジタル変革に成功している製造業と停滞している製造業の差は「技術力」ではなく「組織力とガバナンス」にあることが明確になった。CDO(最高デジタル責任者)の設置、DX専門組織の創設、アジャイル型の意思決定体制の構築が競争力を左右する時代に入った。

CDOとデジタル組織が製造業DXを加速する

2021年調査では、DXに成功した製造業の80%以上がCDOまたは相当するデジタル変革リーダーを置いていることが判明。パナソニックホールディングス、ソニーグループ、日立製作所など大手製造業が相次いでCDOを任命し、デジタル変革を経営の最重要課題として位置づけた。ドイツのティッセンクルップ、フランスのサンゴバンなど欧州製造業でも、デジタル専門子会社の設立やアジャイル型開発チームの創設が相次いだ。

DXガバナンスとデータマネジメントの重要性

デジタル変革の成功に不可欠なのはデータガバナンスだ。どのデータをどこで収集・管理・活用するかを定めた「データマネジメント方針」の整備が、製造業DXの隠れたキーファクターとなっている。GDPR(EU一般データ保護規則)やデータ移転規制への対応を含むデータコンプライアンスの整備も、グローバルに事業展開する製造業にとって不可欠だ。

Harryの着眼点

DXは「経営戦略」であり、IT部門だけの仕事ではない。私が企業のデジタル変革を支援する中で最も感じるのは、経営トップのコミットメントと現場のエンゲージメントが両方揃ったとき、DXが突然動き始めるという事実だ。2022年以降は、デジタル技術の成熟とともに「どう組織を変えるか」がますます問われる。日本の製造業経営者には、DXを技術投資でなく経営変革として捉え直すことを強く求めたい。

出典:マッキンゼー「The State of AI in 2021」、Gartner「Board of Directors Survey 2021」(DX優先事項調査)

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