2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、世界のサプライチェーンに深刻な打撃を与えた。ネオンガス・パラジウムなど半導体製造に不可欠な原材料の調達危機が製造業全体に波及している。
ウクライナ発の資源ショックが半導体生産を直撃
ウクライナは世界のネオンガス供給量の約70%を担う主要産地で、このガスは半導体の露光プロセスに不可欠だ。また、ロシアはパラジウムの世界最大産出国であり、自動車の排気ガス浄化触媒や電子部品への影響が懸念される。コロナ禍に続く二重の供給危機で、自動車・電子機器メーカーは軒並み減産を余儀なくされている。
サプライチェーンの地政学リスク管理が急務
この危機は「単一国・単一拠点依存」のリスクを改めて浮き彫りにした。製造業各社はサプライヤーの多元化(マルチソーシング)、在庫水準の見直し、国内回帰(リショアリング)を急ピッチで進めている。デジタルツインを活用したサプライチェーンの可視化も進み、部材不足発生時の代替調達シナリオをリアルタイムでシミュレーションできる体制を整えるメーカーも出てきた。
Harryの着眼点
コロナからウクライナ危機へ——製造業はまさにサプライチェーンの「連続ショック」の時代を生きています。「安く・一か所から大量に」という20世紀型サプライチェーンの終焉を感じます。地政学リスクをKPIとして経営に組み込む、強靭なサプライチェーン設計が競争力の源泉になる時代が来ました。
出典:経済産業省「通商白書2022」、日経ものづくり2022年6月号