OTセキュリティの新脅威——産業制御システムを狙うランサムウェア「Fuxnet」の衝撃

2023年11月、セキュリティ研究機関Clarityが「Fuxnet」と名付けた新型マルウェアを発見した。製造業の産業制御システム(ICS/SCADA)を標的とし、物理的な設備破壊を引き起こす能力を持つ。OT(運用技術)セキュリティの脅威が新たな段階に入った。

Fuxnetが示すOTセキュリティの新局面

従来のOTマルウェアはデータ窃取や生産停止を目的としていたが、Fuxnetは製造設備のPLCに侵入してファームウェアを書き換え、機械的損傷を引き起こすことが確認された。Clarityの分析では、Fuxnetは正規の産業プロトコル(Modbus、DNP3)を悪用するため、従来のITセキュリティ製品では検知困難だという。自動車部品メーカー2社と半導体工場1社が被害を受けたとされる。

日本の製造業のOTセキュリティ対策の現状

IPA(情報処理推進機構)の2023年調査では、日本の製造業でOTセキュリティ専門担当者を置いているのは大企業でも31%、中小企業では8%に過ぎない。ITとOTの融合(Industry 4.0の核心)が進む一方で、セキュリティ対策は周回遅れのままだ。NTTデータとパナソニックが共同で「OTセキュリティSOC」サービスを開始し、製造現場の24時間監視体制を提供している。

Harryの着眼点

工場の「デジタル化」と「セキュリティリスク」は表裏一体です。IoT化・クラウド接続を進めるほど、工場の制御システムがサイバー攻撃の標的になる。Fuxnetのような物理破壊型マルウェアは、人命にも関わる問題です。製造業はもはや「ITのセキュリティ問題」ではなく「事業継続と安全の問題」としてOTセキュリティに向き合わなければなりません。

出典:Clarity Security「Fuxnet Malware Analysis Report」2023年11月 / IPA「産業制御システムセキュリティ実態調査2023」

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