2021年、ドローンの産業活用が新たな段階に入った。日本では改正航空法が2022年12月に施行される見通しとなり、レベル4(有人地帯での目視外飛行)の解禁に向けた準備が本格化。物流・農業・インフラ点検の3分野で先行事例が急増し、ドローンが「特別な技術」から「現場の道具」へと変わりつつある。
物流ドローンが切り拓くラストワンマイルの未来
楽天が独自の物流ドローンサービスを山間地や離島で拡大。ANAホールディングスもドローン物流事業に参入し、医薬品や食料品の無人配送実証を各地で実施した。アマゾンの「プライムエア」は米国FAA認証を取得し商用サービス開始の準備を進め、アルファベット傘下のウィングはオーストラリアと米国で商用ドローン配送を拡大した。国内では過疎地域の買い物支援や離島への医薬品配送でドローンの実用性が証明され始めた。
インフラ点検・農業でのドローン活用が加速
NTTドコモとゼンリンが3D地図とドローンを組み合わせたインフラ点検サービスを開始。橋梁・鉄塔・送電線の点検コストを従来比で60〜80%削減できる事例も登場した。農業用ドローンは国内での登録機数が急増し、水稲・果樹への農薬・肥料散布が全国的に普及。ヤマハ発動機と丸紅が農業ドローンの海外展開にも力を入れ始めた。
Harryの着眼点
日本のドローン政策はレベル4解禁に向けた制度整備が着実に進んでおり、2022年以降の本格普及に期待が高まる。物流・農業・インフラ点検の3分野は産業ドローンの「キラーアプリ」であり、特に過疎化・高齢化が進む地域での社会インフラとしての役割は大きい。ドローンを「実験的技術」でなく「現場の標準装備」として位置づける経営的判断が今こそ求められている。
出典:国土交通省「ドローンの利活用促進のための環境整備」(2021年)、楽天・ANAドローン配送事業発表資料