前記事では、工場内での空間位置座標検出技術を利用して、作業人員の動きをモニタリングすることによる、作業員の安全確保やセキュリティ・制限エリア侵入阻止の可能性について書かせていただきましたが、人・モノの位置が検出できるという事は様々な可能性を秘めています。
生産効率を上げたり、生産活動が正しく行われているかをモニターし、記録(トレーサビリティ)して利用する方法もその一つだ。
例えば、作業者のバッチなどに位置検出タグをつけておけば、適正なオペレーターが定位置で作業をしていることを証明することができるし、そうでない場合に警告を出したり、ラインを停止させて勝手な作業や誤魔化しが行われないように阻止することもできる。
また、組立作業に用いる工具に位置検出タグを付ければ、オペレーターが、正しい工具を使って正しい位置にモノを組付けているのかを判定することもできる。間違った手順・作業が不足している場合は後工程に生産品が流れないようにできる。
そして、生産品(車両・航空機)に位置検出タグをつければ、工場内でどの位置で生産されているかを即時にマッピングすることが出来、生産管理が楽にできる。
これら、人・工具・生産品すべてに位置検出タグをつけたとすれば、正しい作業員が(誰が)、正しい工具を使って(正しい手順で・不足なく)、正しい製品に対して(製品に合わせた条件で) 作業していたことを保証が出来るのである。
自動車組立業界でよく見受けられる最近の組立工具、例えばボルトやネジを締める電動ツール(ナットランナー)では、締付の条件(トルク)を可変させ、締付結果をデータ転送できる、ワイヤレスのバッテリーツールがあるが、これらと位置検出タグとを組み合わせれば、例えば車の右側の扉と左側の扉でボルト締め作業が完了したことを、場所と共に記録し、場合によっては条件も変えることが出来るのである。(写真引用元:英ユビセンス社)
生産ラインでは、車はコンベヤー上をゆっくりと動いているが、作業を許可する仮想領域を、車の動きに合わせて動かすことができ、非常にフレキシブルなラインとすることもできるのである。
このあたりの活用方法は、ユビセンス社のYouTubeビデオに紹介されているのでご参照いただきたい。
この技術は、すでにドイツのBMWの完成車組み立てにおいて、イギリス・ユビセンス社の位置検出技術(RTLS)とスウェーデン・アトラスコプコ社の無線ナットランナーのコラボにより実現しているというのは驚きである。
位置検出技術を取り込むことによって、次世代のスマートファクトリーが劇的に様変わりしそうな予感です!