インダストリ4.0の導入で作業者がバカになる?
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インダストリー4.0におけるモノづくりでは、すべての機器がIoT(Internet of Things)により物理的な世界がバーチャルな世界に再現され、またビッグデータを活用することにより、製造機器が自立して動くようになると考えられます。

そうすると、人手による組立作業現場などにおいて、機械が作業者に対して、大型画面、タブレット端末、そしてARやプロジェクションマッピング等を使い的確な指示を行って、作業の熟練度合いに関係なく、複雑な事をこなせるようになってくることでしょう。

そうなることを必ずしも良いと思う人ばかりでもないようです。
作業機器が頭脳を持つことにより、作業者は深く考えなくてもミスを犯さなくなる。
だから作業者へのトレーニングが不要、熟練工不要、作業者依存の品質問題が低減など、工場のマネジメントにとっては都合が良さそうだが、作業者がいわゆる機械の奴隷として何も考えずに言われることだけを処理するツールとして動くことになってしまう、という考えである。
「あまり高価な賢いツールを与えて作業させると、作業者がバカになってしまう」といった言葉を筆者は生産現場の方から言われたことがあります。

果たしてそうでしょうか?

少子高齢化による労働力の減少、プチパートタイムなどの働き方の多様化といった作業者の環境、それと多種多様な仕様・リードタイム・コスト削減などの生産現場の課題に応える為に、インダストリ4.0は賢く取り入れるべきだと思います。

つまり、作業者に対し「ミスをしてはいけない」といった無理なプレッシャーから解放させることが出来、難解な手順を覚えさせる時間や知識を、別の分野に振り向けることが出来るのだと思います。

うまく活用すれば、以下のような効果をあげられるようになると思います。

  • 付加価値の低い仕事のトレーニングが不要になることで、より付加価値の高い仕事へ幅が広がる。
  • ミス防止のプレッシャーから解放され、より専門性の高い仕事に専念ができる。
  •  ちょっと働きたい人、外国人雇用者、障碍者・高齢者でも安心をして作業に従事できる。

インダストリー4.0を導入した後の作業者の仕事の仕方は変わるべきだし、変わらなければ「作業者がバカになってしまう」というのもまんざら間違いではなく、作業者が機械の奴隷と化してしまう事でしょう。

 

本来人間はクリエイティブであるものだと思うので、以上の効果を活用して、働く方の役割を引き上げることで人に仕事の意味をより強く感じさせ、それが働く方のモチベーション向上につながっていくのではないかと思います。