エッジコンピューティングとIIoT――工場のリアルタイムAI処理が変える製造現場

クラウドへの一極集中から、現場に近いエッジでデータを処理する「エッジコンピューティング」への転換が製造業で加速している。リアルタイム制御、低遅延処理、データ転送コスト削減の観点から、工場設備に近い場所でAI推論を実行するエッジAIシステムの導入が2021年に急増した。

エッジAIが実現するリアルタイム品質管理

インテルのOpenVINO、NVIDIAのJetsonシリーズを搭載したエッジAIシステムが製造ラインの品質検査で広く採用され始めた。カメラとエッジAIを組み合わせた外観検査システムは、従来の人手による目視検査と比べて不良品検出精度を30〜50%向上させながら、検査速度を10倍以上に高めた事例が多数報告されている。コンチネンタルとボッシュは工場向けエッジAIプラットフォームを共同開発し、自動車部品の全数検査体制を構築した。

IIoTプラットフォームの成熟と標準化

AWS IoT Greengrass、Azure IoT Edge、Google Cloud IoT Edgeなど主要クラウドベンダーのエッジサービスが成熟し、クラウドとエッジの統合管理が容易になった。OPC-UA(産業用通信標準)とTSN(時刻同期ネットワーク)の組み合わせが産業IoTの通信標準として普及し、異なるメーカーの設備間でのシームレスなデータ交換が実現しつつある。

Harryの着眼点

エッジコンピューティングとIIoTの成熟により、工場の「すべての設備をつなぐ」夢が現実に近づいた。クラウドに依存せずに現場でリアルタイム判断を下せるエッジAIは、製造業のデジタル変革の核心技術だ。OPC-UAによる標準化が進んだことで、レガシー設備も含めた工場全体のデジタル化が加速するだろう。日本の製造業がこの波に乗り遅れないよう、エッジAI投資を前向きに検討してほしい。

出典:IHS Markit「Industrial IoT Market Report 2021」、OPC Foundation「OPC-UA 標準化動向」

コメントを残す