デジタルツイン技術の新たな応用として「カーボンデジタルツイン」が製造業で注目されている。工場の生産活動とCO2排出量をリアルタイムで紐付け、スコープ1・2・3の排出量を可視化・最適化するシステムが実用段階に入った。
カーボンデジタルツインの仕組みと価値
カーボンデジタルツインは、生産設備・電力・物流データをリアルタイム統合し、製品1個あたりのCO2排出量(カーボンフットプリント)をリアルタイム計算する。SiemensとSAPが共同開発した「Green Ledger」は、工場のERP・MESデータを統合して製品ごとの正確なカーボンフットプリントを算出し、EU CBAM(炭素国境調整メカニズム)向けの報告書を自動生成する。ダイムラートラックでは同システムを導入し、従来3ヶ月かかっていたCO2報告書の作成が3日に短縮された。
日本製造業でのカーボンデジタルツイン展開
トヨタ自動車は自社工場のカーボンデジタルツインを構築し、工程別・設備別のCO2排出量を「分単位」で可視化している。どの生産ラインの稼働が最もカーボン効率が良いかをAIが最適化し、CO2排出量を維持しながら生産量を5%向上させた。三菱電機の「e-F@ctory Carbon Optimizer」は、工場の電力消費・生産スケジュール・再エネ発電量を統合して、カーボン排出を最小化する生産スケジューリングを自動化する。
Harryの着眼点
カーボンデジタルツインは「環境と経営の統合」を実現するツールです。これまでCO2削減は「コスト」として捉えられていましたが、カーボン最適化が生産効率向上と連動することが分かってきました。脱炭素は「やらなければならない規制対応」から「やれば競争力が上がる戦略投資」になっています。この認識の転換が、製造業のカーボンデジタルツイン普及を加速させるでしょう。
出典:Siemens・SAP「Green Ledger発表」2024年 / トヨタ自動車「カーボンデジタルツイン工場運用」2024年 / 三菱電機「e-F@ctory Carbon Optimizer」2024年