ドイツでは皆さんご存知の通りフォルクスワーゲンによる排ガス規制ソフトウェアの大不祥事がありました。
これにより、単なるディーゼルエンジンの不正にとどまらず、このドイツを代表する企業のイメージ悪化がすなわちそのままドイツの環境にやさしく品質に厳格という姿勢への疑いが向けられている。
これまで、フォルクスワーゲンといえば、トヨタ・GMと共に世界の車の覇権を握るために切磋琢磨しながら車を作り込んできた企業であり、多くの車メーカーが車の質だけでなくその工場の製造方法もお手本にしてきたいと思われていた企業であった。その流れもあり、フォルクスワーゲンお膝元で推進されているインダストリー4.0にも多大なる注目が集まっていた。
確かに今回の不正はエンジンスペック・パワートレイン設計面での不正であり、製造や組立の不正ではないのであるが、ここにきて製造業界のフォルクスワーゲンのものづくりに以前ほど熱い視線が向けられず、逆に冷ややかな目が注がれているように感じる。
フォルクスワーゲンCEOウィンターコルン氏による過熱した成長を目指したことによる代償で冬(ウィンター)の時代を迎えることになったのは何とも皮肉である。
それに呼応してか、ここにきて日本でもインダストリー4.0への注目が以前ほど無くなったようにも感じます。
作者は先週ドイツから帰国しましたが、あちらでは今はインダストリー4.0どころではなく、まずは国の大黒柱の一つでもあるこの企業の失態の後始末をどうすればよいのかというのが注目されている。
これまで、フォルクスワーゲンの躍進による景気高揚、そしてインダストリー4.0を国策で製造業に取り入れる事による製造業世界制覇、を目論んでいた政府の思惑は外れ、景気が上向きなら受け入れられたであろう大量移民の件が今度は逆に重い問題としてのしかかり始めている。
昨今の経済はマクロ・グローバルで動いているので、中国経済の減速、新興国通貨安と相まって経済の負のスパイラルにならないことを祈るのみである。