イニシャルコストを抑えたがる日本
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イニシャルコスト(初期投資)は、生産活動をするうえでまず最初に試算される重要な指標で、これを出来る限り削って最大限の生産効率を検討するのは、生産準備部隊が行うべきことと考えられています。

しかし、時にこの「出来る限り削って」というところに、落とし穴が潜んでいます。つまりイニシャルコスト・初期投資を検討する際に、各社が提案してくる設備のカタログを横に並べて、そこに価格を書き込んで一番安いところから買ってくるという、安易な価格比較になってしまいがち。

特に日本の生産準備の現場では、設備のランニングコストを見落としがちな傾向があります。少ない人数で世界同時生産立ち上げをするなど、検討時間が少なく安易に設備の値札比較になってしまうのが多々ある現実。

しかしながら、その設備を運用した際に、製品の品質や、作業者の負担、エネルギーコスト(光熱費)、設備の部品寿命、ダウンタイム(故障停止時間)などが入り組んで関わり、一番安い設備を買ったがトータルコストが増大してしまうケースが多々あるのです。
よく、生産技術部隊が「コストダウン」の命題を実現し自信持って入れた設備だが、よく壊れたり停止時間が長い為ランニングコストが高くなり保全部隊が音を上げるケースが見らえます。

インダストリ4.0の考え方を生産設備に取り入れる時には、このあたりを特に留意しなければ、何事も進まないであろう。特に、データを扱うサーバーやネットワーク、ソフトウェアは信頼性・使い勝手が重要だが、その値段の付け方が判りにくいのが難点である。しかも、これらのデータは活用しなければ単なるゴミにすぎなくなります。

特に欧米では、「ライフサイクルコスト」=生産準備から生産終了までの間にかかるすべてのコストを考えて設備を検討するのが一般的で、概して高品質な設備(イニシャルコストが高い場合が多々あり)が導入されるケースが日本の製造現場に比べて多くみられます。

イニシャルコストはライフサイクルコストの中の氷山の一角。インダストリ4.0を取り入れる際は、トータルコストの検討をお忘れなく!