2022年に入り、工場の制御システム(OT/ICS)を狙ったサイバー攻撃が世界的に急増している。特に重要インフラを狙ったランサムウェアの被害が深刻だ。
製造現場が標的になる理由
工場の制御システムはかつてはインターネットから切り離されていたが、スマートファクトリー化の進展によりITとOTの境界が曖昧になっている。攻撃者はこの隙間を狙い、PLCや産業用ロボットへの侵入を試みる。2021年には米フロリダ州の水処理施設がハッキングされ、塩素濃度を危険レベルまで引き上げようとした事件が世界に衝撃を与えた。
多層防御とゼロトラストアーキテクチャ
対策の鍵はゼロトラスト原則の導入だ。すべての通信を「信頼しない」前提でリアルタイム検証し、OTネットワークをセグメント化することで被害の拡大を防ぐ。日本でも経済産業省が「工場セキュリティガイドライン」を改訂し、中小製造業への支援を強化している。ソフトウェアのパッチ適用が困難なレガシー機器には仮想パッチ技術の活用が有効だ。
Harryの着眼点
製造業のDX推進とセキュリティ対策は表裏一体だと思います。工場がつながればつながるほど、攻撃面は広がる。日本の製造業はこの現実を直視し、経営レベルでセキュリティ投資を判断する必要があります。生産停止による損失は、対策費用をはるかに上回ることを忘れないでほしい。
出典:経済産業省「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」2022年改訂版