2024年の幕開けとともに、製造業AIは新たな段階に入った。言語・画像を処理する「デジタルAI」と、ロボット・制御システムを動かす「物理AI」の融合が現実になりつつある。NVIDIAがCES 2024で発表した「Isaac GR00T」はその象徴だ。
NVIDIAのIsaac GR00Tが示す物理AI革命
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがCES 2024基調講演で発表したIsaac GR00T(Generalist Robot 00 Technology)は、LLMの推論能力をロボットの物理的動作に適用する汎用ロボットAIだ。「拭く」「組み立てる」「分解する」といった物理タスクを自然言語で指示すれば、ロボットが適切な動作を自律的に生成する。HondaとFigure AIが採用を発表し、日本企業では川崎重工とファナックが技術評価を開始した。
製造業への「物理AI」導入のロードマップ
ガートナーのハイプ・サイクル(2024年版)では「物理AI・ロボティクス」が「黎明期」から「過度な期待のピーク期」に移行すると予測。2〜5年での実用化を見込む。日本では自動車産業が最初の主戦場で、トヨタ・ホンダ・日産が2024年中に物理AIロボットのPoCを工場で実施する計画を発表している。
Harryの着眼点
物理AIの登場は、ロボット工学の「もう一つのChatGPTモーメント」です。これまでロボットは「プログラムした通り」しか動けませんでしたが、物理AIにより「指示した通り」に動けるようになる。この差は大きい——特に多品種少量生産を行う日本の製造業にとって、段取り替えのたびにプログラムが不要になることは革命的です。2024年は物理AIの実用化元年になると予測します。
出典:NVIDIA「Isaac GR00T:Foundation Model for Humanoid Robots」CES 2024 / ガートナー「Hype Cycle for Manufacturing Operations Technology, 2024」