2022年の製造業M&A市場は金利上昇の逆風にもかかわらず、DX・EV・カーボンニュートラル対応を目的とした戦略的M&Aが活発に続いた。技術・人材獲得を目的とした「デジタル技術獲得型M&A」が主流となった年だ。
製造業M&Aのキーワードはソフトウェア・EV・セキュリティ
2022年の製造業M&Aで目立ったのはソフトウェア企業の買収だ。シーメンスはソフトウェア企業Bentley Systems株の追加取得を進め、ロベルト・ボッシュはソフトウェアスタートアップを相次いで買収してソフトウェア定義車両(SDV)への移行を加速した。セキュリティ分野ではHoneywellやRockwell AutomationがOTセキュリティ企業を買収し、製造業向けセキュリティポートフォリオを強化した。
日本企業のクロスボーダーM&A——日立・富士通が海外DX企業を積極買収
国内では日立製作所がGlobalLogic(デジタルエンジニアリング会社、約1兆円)の完全子会社化を完了し、IT・OT・デジタルの統合サービス体制を完成させた。富士通もオーストラリアのコンサルティング会社Versar Pty Ltd等を買収し、デジタルコンサルティング事業を強化した。これらは「技術力ではなくデジタル人材と顧客接点を買う」戦略の体現だ。
Harryの着眼点
製造業M&Aの質が変わっています。「競合他社のシェアを取る」ための規模拡大型M&Aより、「持っていないデジタル能力を獲得する」ための能力補完型M&Aが主役です。スタートアップの技術と大企業の製造基盤・顧客ネットワークを掛け合わせることで生まれるシナジーに期待します。この流れは2023年以降も加速するでしょう。
出典:KPMG「2022 M&A Trends Survey: Manufacturing」、日本経済新聞「M&A動向2022年総括」特集