製品設計・開発の上流工程に生成AIが本格参入し、エンジニアリングの生産性と創造性の両面で変革が起きている。Autodesk、PTC、Siemensといった主要CAD/PLMベンダーが生成AI機能を統合し始め、2025年はその商業利用が製造現場に広がる転換点となっている。
生成AIが変えるCAD・シミュレーション・設計プロセス
AutodeskのFusion(旧Fusion 360)に搭載されたジェネレーティブデザイン機能は、重量・強度・コストの制約条件を入力すると、AIが数百〜数千の最適構造案を自動生成する。これまで熟練エンジニアが週単位で行っていた設計代替案の検討が、数時間で完了するようになった。SiemensのNX with AI Assistantは自然言語で設計変更指示を入力でき、PLM(製品ライフサイクル管理)システムと連動して変更履歴・影響範囲を自動記録する。
トポロジー最適化と生成AIの融合
航空機部品メーカーのGKNエアロスペースは生成AIトポロジー最適化でブラケット部品の重量を45%削減し、強度要件を維持しながら製造コストも15%低減した。テスラは車体フレーム設計にジェネレーティブデザインを採用し、一体成形「ギガキャスト」部品の最適形状を生成AIで導出したと報告されている。McKinseyの調査では、生成AI活用で製品開発期間が平均20〜35%短縮できると試算されている。
Harryの着眼点
生成AIは設計エンジニアを「置き換える」のではなく「拡張する」ツールだ。AIが大量の設計代替案を生成し、エンジニアが「何を重視するか」を判断する役割分担が最も効果を発揮する。日本の設計部門では「3D設計ツールのスキル差」が依然大きく、生成AI活用の前提となる3DCADへの完全移行が遅れている企業も多い。デジタル設計基盤の整備を優先してから生成AI導入を図ることが成功への近道だ。
出典:Autodesk Fusion Generative Design 公式資料(2025年);Siemens NX AI Assistant 技術ブリーフ(2025年);McKinsey「AI in Engineering 2024 Survey」