2025年、製造業の競争軸が「ハードウェアの性能」から「ソフトウェア・データ・AIサービス」に移行する「製造業のソフトウェア企業化」が日本でも本格的な議論を呼んでいる。伝統的なものづくり企業が「サービス業」へと変わる転換期だ。
SDV(ソフトウェア定義車両)が示す製造業の未来
自動車業界のSDV(Software Defined Vehicle)は「製造業ソフトウェア企業化」の最先端モデルだ。テスラはOTA(無線ソフトウェア更新)で車両機能を継続的に追加・改善し、顧客は同じ車でも1年後には「より良い製品」に乗っている。トヨタはSDV対応の「E/Eアーキテクチャ」刷新に1.3兆円を投資し、2026年以降に発売する全モデルをソフトウェア優先設計に変える計画だ。日産・ホンダは合流してSDV技術の共同開発体制を構築している。
製造業のサブスクリプション・サービス化への転換
ファナックはCNC工作機械の運転データを「FIELD system」で収集し、AIによる最適化アドバイスを月額サービスとして提供している。コマツは建設機械のスマートコンストラクション・サービスで売上の20%以上をソフトウェア・サービスから得るようになった。「機械を売る」から「成果を売る」モデルへの転換は、製造業の収益構造を安定化させるとともに、顧客との関係を「トランザクション」から「パートナーシップ」に変える。
Harryの着眼点
製造業のソフトウェア企業化は「ハードを捨てる」ことではありません。ハードウェアに蓄積してきた技術・品質の強みを活かしつつ、そこにソフトウェア・データ・AI価値を重ねることで、競合が模倣できない「ハード×ソフト複合価値」を作る——これが日本製造業のとるべき道です。「作って売る」から「作って提供し続ける」への変換は、組織・ビジネスモデル・技術全てを変える大変革ですが、やり遂げた企業が次の時代の勝者になります。
出典:トヨタ「SDV投資計画発表」2025年1月 / ファナック「FIELD systemサービス実績」2025年 / コマツ「ソフトウェア・サービス売上比率開示」2025年