2024年後半、製造業のAI活用に「スモールモデル(SLM)」ブームが到来した。GPT-4規模の巨大モデルは高コスト・高レイテンシで工場への常時デプロイには向かない。業務特化型の「小さくて賢い」AIが製造現場に適している。
スモールLLMの製造業への優位性
Microsoftの「Phi-3」、Google「Gemma」、Metaの「Llama 3 8B」などパラメータ数が数十億規模のLLMが高い性能を示している。製造業での利点は、エッジデバイス(GPUを持つ産業PCや強化ラップトップ)への完全オフライン展開が可能なことだ。工場の機密データ(設計図・品質データ)をクラウドに送ることなく、現場でAI分析ができる。川崎重工は社内データで微調整(ファインチューニング)したLlama 3をオフラインで稼働させ、設備トラブルシュートAIとして現場に展開した。
製造業専用モデルの開発が加速
汎用LLMではなく、製造業ドメイン専用のモデル開発も進んでいる。Seequentは地質・鉱業向けSLMを、Flukeは設備保全診断向けSLMをリリースした。日本では産業技術総合研究所が「ものづくり特化型LLM」の研究開発を進めており、JIS規格・製造手順書・設備マニュアルで学習した国産製造業AIを2025年に公開予定だ。
Harryの着眼点
製造業のAI活用では「最先端のAIを使うこと」よりも「現場で使えるAIを使うこと」が重要です。スモールモデルは「小さいから精度が低い」ではなく、「特定業務に特化して小さい」のです。設備トラブルシューティングや品質基準確認といった定型業務なら、特化型スモールモデルの方がGPT-4より実用的かもしれません。コストとプライバシーの優位性も加えると、製造業での普及は急速に進むと予想します。
出典:Microsoft「Phi-3 Technical Report」2024年 / 川崎重工「Llama 3活用製造AI」事例発表2024年 / 産総研「ものづくり特化型LLM開発計画」2024年