工場の「見えない空気」を可視化——CO2・VOCセンサーが製造品質と作業者健康を守る

製造現場の環境モニタリングに新たな展開が生まれている。温度・湿度・振動といった従来の監視項目に加え、CO2濃度・VOC(揮発性有機化合物)・微粒子(PM2.5)のリアルタイム監視が製造品質と作業環境の改善に貢献し始めた。

空気質モニタリングが製造品質に与える影響

半導体・精密光学機器・医薬品製造ではクリーンルームの空気環境が製品品質に直結する。東京エレクトロン(TEL)の研究では、クリーンルームのCO2濃度が1500ppmを超えると、作業者の判断速度が低下し品質検査ミスが23%増加することが示された。島津製作所はナノサイズ粒子センサーと生産データを組み合わせることで、「空気質の悪化→品質異常の予兆」を95%の精度で24時間前に予測するシステムを開発した。

作業者健康とESGへの寄与

製造現場のVOC管理は作業者の健康保護だけでなく、企業のESG評価にも関わる。塗装工程・樹脂成形では有機溶剤が揮発し、長期ばく露がリスクとなる。デンソーは全製造拠点にIoTセンサーを設置し、VOC濃度をリアルタイム監視してデータを安全衛生管理システムと連携させた。これにより化学物質ばく露関連の労災件数が3年間でゼロになった。環境省も「製造業の化学物質リスク管理IoT活用」を推奨する指針を公表している。

Harryの着眼点

「見えない」リスクを「見える」にすることはIoTの本質的な価値です。空気質モニタリングは製品品質・作業者安全・ESGの三つの課題を同時に解決できる、コスパの高いIoT活用領域です。センサーコストの低下(2020年比で60%減)により中小製造業でも導入ハードルが下がっており、2024年は本格普及の年になると予測します。

出典:島津製作所「空気質センシングと品質予測」研究発表2024年 / デンソー「ESGレポート2024」/ 環境省「製造業化学物質リスク管理指針」2024年

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