中国+1戦略が加速——東南アジア・インドへのサプライチェーン分散化の最前線

米中対立・地政学リスクの高まりを受け、日本製造業の「China+1」戦略が2024年に加速している。ベトナム・タイ・インドネシア・インドへの生産移管・調達分散が本格化し、サプライチェーンの地図が塗り替えられつつある。

製造業のChina+1戦略の現状と主要動向

JETROの「2024年版アジア・オセアニア調査」では、在中日系製造業の41%が「今後3年以内に生産の一部を中国以外に移管する」と回答した。移管先として最多はベトナム(38%)、次いでインド(27%)、タイ(21%)、インドネシア(14%)。特に電子部品・精密機器分野でのシフトが顕著で、ミネベアミツミは中国工場のモーター生産をタイ・ベトナムに分散、ホシデンはハノイに新工場を開設した。

デジタルSCM構築が分散生産の前提条件

生産拠点の分散化は「管理の複雑化」というデメリットを伴う。これを克服するのがデジタルサプライチェーン管理(デジタルSCM)だ。SAP S/4HANA、Oracle SCM Cloud、Kinaxisを活用して複数国の生産・在庫・物流をリアルタイムに可視化し、最適な調達・生産判断を自動化する体制の整備が不可欠となっている。パナソニックは全世界300拠点のサプライチェーンデータを統合する「グローバルSCMプラットフォーム」を2024年に完成させた。

Harryの着眼点

China+1は「脱中国」ではなく「中国リスクの分散」が正確な表現です。多くの日本企業が中国市場向け販売は継続しながら、生産拠点を分散させる戦略をとっています。難しいのは品質管理の横展開で、日本工場で培った品質基準をベトナムやインドの新工場でも維持できるかが長期的な競争力を左右します。ここでもデジタル化とAIが品質管理の標準化に貢献できる領域です。

出典:JETRO「2024年版アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」/ ミネベアミツミ「グローバル生産体制再編」プレスリリース2024年 / パナソニック「グローバルSCMプラットフォーム」2024年

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