2024年、製造業のサプライチェーントレーサビリティにブロックチェーン活用が本格化している。EUの「デジタル製品パスポート(DPP)」規制(2027年本格施行)を見据え、原材料の採掘から製品廃棄までの全情報をブロックチェーンに記録・開示する体制整備が急務になった。
デジタル製品パスポートが製造業に突きつける要件
EU「デジタル製品パスポート(DPP)」規制では、製品の素材組成・製造プロセス・カーボンフットプリント・リサイクル可能性などの情報をデジタルで提供することを義務化する。日系製造業がEU向け製品(電池・繊維・電子機器)を販売し続けるためには、2027年までに対応が必須だ。ブロックチェーンを用いたDPP実装では、サプライヤー各社が独自にデータを記録し、改ざん不可能な状態で開示できる点が有効だ。
日本製造業でのブロックチェーン・トレーサビリティ実装
トヨタ紡織はコンゴ産コバルト(EV電池材料)の採掘から部品製造まで全過程をブロックチェーンで追跡するシステムを構築した。IBMのFood Trust技術を応用し、コンゴの採掘業者→輸出業者→化学処理→部品製造→完成車メーカーの全段階でデータが自動記録される。凸版印刷(現TOPPAN)はブロックチェーン・トレーサビリティをSaaSとして提供し、中小製造業でも月額10万円以下でDPP対応が可能なサービスを開発した。
Harryの着眼点
トレーサビリティは「見せる責任」を製造業に求めます。これまでサプライチェーンの実態は外部から見えませんでしたが、DPP規制により「見える化」が義務化されます。これはリスクでもありますが、倫理的・環境的に優れたサプライチェーンを持つ企業にとっては「差別化」の機会です。ブロックチェーン実装は複雑に見えますが、SaaSソリューションが普及したことで、2024〜2025年が導入のベストタイミングです。
出典:EU「デジタル製品パスポート規制(Ecodesign for Sustainable Products Regulation)」/ トヨタ紡織「コバルトトレーサビリティ」2024年 / TOPPAN「ブロックチェーンSaaS」プレスリリース2024年