製造業のカーボンニュートラル宣言が続々――2050年脱炭素に向けたデジタル戦略

2020年10月、菅義偉首相(当時)が「2050年カーボンニュートラル」を宣言して以来、日本の製造業でも脱炭素への取り組みが経営の最重要課題となっています。CO2排出量の多い製造業にとって、カーボンニュートラルはIoTやAIを活用したエネルギー管理の高度化なくして達成できない目標です。

製造業のCO2排出削減に向けたデジタル技術活用

日本の製造業はCO2排出量全体の約25%を占める最大の排出セクターの一つです。製造業のカーボンニュートラルに向けたデジタル技術活用は主に3つの方向で進んでいます。①エネルギーマネジメントシステム(EMS)の高度化:工場全体のエネルギー消費をIoTセンサーでリアルタイム把握し、AIで最適制御。②製造プロセスの電化:化石燃料を使う加熱工程を電力ベースのプロセスに転換し、再生可能エネルギーで稼働。③カーボンフットプリントの可視化:製品1つあたりのCO2排出量をサプライチェーン全体で算定・開示するシステムの整備。特に③については、欧州のカーボンボーダー調整メカニズム(CBAM)への対応からも、グローバルに事業展開する企業には不可欠となっています。

先進事例:製造業各社のカーボンニュートラル戦略

住友化学は2050年のカーボンニュートラルに向け、AIを活用したエネルギー最適化システムを全国の工場に展開する計画を発表しました。パナソニックは「工場の省エネ診断AI」を開発し、既に複数工場で電力コストを10〜15%削減することに成功。トヨタ自動車は全世界の工場でCO2排出量ゼロを目指し、生産ラインへの再生可能エネルギー導入と水素活用を組み合わせた「グリーンファクトリー構想」を推進しています。中小製造業向けには、エネルギー消費の可視化から始められる低コストなEMSパッケージの提供も各社から始まっており、補助金を活用した導入支援も充実してきました。

Harryの着眼点

カーボンニュートラルは「環境への配慮」という側面だけでなく、製造業の「競争力の問題」でもあります。欧州の炭素国境税の導入が進めば、脱炭素化を達成できていない製造業は国際競争で不利になります。一方、エネルギーコストは多くの製造業で大きなコスト要因であり、AI・IoTによるエネルギー管理の高度化はコスト削減にも直結します。カーボンニュートラルへの取り組みは「コスト」ではなく「投資」として、積極的に推進すべきと考えます。

出典:環境省「脱炭素経営促進ネットワーク」2021年 / 経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」2020年12月

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