日本の製造業大手がフィジカルAIレースに参戦――京セラ・神戸製鋼など約20社が連合体を結成

工場の生産現場に人工知能(AI)を直接組み込む「フィジカルAI」と呼ばれる領域で、日本の製造業が本格的な動きを見せ始めた。京セラや神戸製鋼をはじめとする約20社が連合体を形成し、工場向けロボットのAI化を共同で推進することが明らかになった。

連合体が目指すもの:AIで変わる金属・樹脂加工

この連合体は、Arum社が開発したAI技術を核に、工作機械ロボットの商業化を目指す。注目されるのは「TTMC」と呼ばれる旗艦システムだ。TTMCは金属や樹脂の加工データを大量に学習した独自AIを用い、設計図面から加工プロセスを瞬時に生成する能力を持つ。

現時点では小型部品の加工に特化しているが、今後は建設機械や半導体製造装置に用いられる中・大型の複雑部品にも対応範囲を広げていく計画だという。連合体の活動期間は約4年間を予定しており、製造現場への実装と量産化に向けたロードマップを策定中だ。

マイクロソフト日本法人も支援に加わる

国内製造業の取り組みにとどまらず、マイクロソフトの日本法人も技術支援として参画する。さらにNidec Machine Tool、双日系の企業も連合に名を連ねる。IT大手とものづくり企業が手を組む構図は、日本のIndustry 4.0を一段と加速させる可能性を秘めている。

一方、ソフトバンクとNECは合弁会社「Noetra Corp」を設立し、2030年度までに「リアルワールドネイティブAI」の実用化を目指すと発表。製造現場だけでなく、物流・インフラ管理といった実世界全体への応用も視野に入れている。

政府も370兆円規模の官民投資を後押し

日本政府は半導体・AI分野を含む17セクターで、2040年度までに官民合計370兆円規模の投資を推進する方針を打ち出している。フィジカルAIの実装は、こうした国家戦略と強く連動しており、工場の省人化・高精度化を加速させる切り札として期待されている。

編集部コメント

「設計図を読み込むだけで加工プロセスを自動生成する」AIの登場は、熟練技術者の”暗黙知”をデジタル化するうえで大きな意味を持つ。属人的なノウハウをAIが継承することで、技術者不足という日本製造業の深刻な課題を解決する可能性がある。今後の連合体の成果に注目したい。

出典:Qatar Tribune「Japan’s factory giants join physical AI race」(2026年)

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