コロナ禍で露呈したサプライチェーンの脆弱性――デジタル化で強靭なネットワークを構築する

新型コロナウイルスのパンデミックは、グローバルサプライチェーンの脆弱性を世界に突きつけました。マスクや医療機器の供給不足に始まり、半導体不足による自動車生産停止まで、特定拠点・特定国への依存リスクが顕在化。各企業はサプライチェーンの強靭化に向けて、デジタル技術を積極活用し始めています。

サプライチェーン可視化ツールが需要急増

パンデミック発生後、サプライチェーン管理(SCM)ソフトウェア市場は急速に拡大しています。特にリアルタイムでの在庫・物流可視化ツールへの需要が急増しており、グローバル調査会社ガートナーはSCM市場が2021年から年間12%以上の成長を遂げると予測しています。具体的なソリューションとしては、ブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティ管理、AIによる需要予測精度の向上、クラウドベースの多層サプライヤー管理プラットフォームなどが注目されています。IBMの「IBM Sterling Supply Chain」やSAPの「SAP Integrated Business Planning」など大手ベンダーの製品も多くの製造業に採用が進んでいます。

日本企業のサプライチェーン再構築戦略

日本政府は2020年、「経済安全保障」の観点からサプライチェーンの国内回帰・多元化を支援する補助金制度を設けました。トヨタ自動車は半導体の戦略的備蓄方針を見直し、サプライヤーの多様化と情報共有プラットフォームの整備を加速しています。また、製造業各社が「チャイナ+ワン」戦略として生産拠点を東南アジアや国内に分散させる動きも活発化。こうした物理的な分散と同時に、デジタルプラットフォームによるサプライチェーン全体のデータ統合が不可欠となっており、EDI(電子データ交換)からAPIベースのリアルタイム連携への移行が進んでいます。

Harryの着眼点

サプライチェーンの問題は、単なる「調達・物流の問題」ではなく、企業の存続に関わるリスク管理の問題です。今回のパンデミックは、その事実を痛感させてくれました。重要なのは、リスクの「可視化」から「予測・対応」へのシフトです。AIと豊富なデータを活用することで、需給の変動や地政学的リスクを事前に察知し、代替調達経路を自動的に提案するシステムが実現します。日本の製造業がこの分野でリーダーシップを発揮することを期待しています。

出典:経済産業省「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業」2020年 / ガートナー「Supply Chain Technology Hype Cycle 2020」

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