2024年9月12日、OpenAIはo1(オーワン)モデルを公開した。回答する前に内部で「思考チェーン」を実行するo1は、複雑な数学・工学問題の解決能力でGPT-4を大幅に上回る。製造業の難解な問題解決への応用が期待されている。
o1の「推論力」が製造業に与えるインパクト
o1の特徴は「じっくり考えてから答える」能力だ。従来のGPT-4が即座に答えるのに対し、o1は問題を分解・分析・推論する過程を内部で実行してから回答する。製造業での実証では、「設備の振動異常データから考えられる原因と修理手順を提案して」という複雑な保全問題で、o1はGPT-4比で解の正確性が67%向上した。三菱重工のエンジン設計部門では、o1を用いた熱流体解析の自動化検討が開始された。
「思考するAI」の製造業知識エンジニアリングへの応用
o1が特に有望なのは「知識エンジニアリング」の領域だ。複雑なトラブルシューティング(「3週間前から発生しているX設備の異常Y、原因候補を優先順位付きで列挙し、各診断手順を記述せよ」)の自動化、品質不良の根本原因分析(なぜなぜ分析のAI版)、設計制約条件の矛盾検出などで、人間の専門家に近い品質の出力が報告されている。ホンダはo1 APIを活用したエンジン開発支援ツールを内製している。
Harryの着眼点
o1の登場は、AIが「情報を検索・要約するツール」から「問題を解決するパートナー」になる転換点だと感じています。製造業の難問——複雑な設備トラブル、多変数が絡み合う品質問題——に対して、o1が人間の専門家と共に取り組む姿が見えてきました。ただし「じっくり考える」分だけ時間がかかるため、リアルタイム判断が必要な工程ではなく、企画・設計・分析の上流工程での活用が最適です。
出典:OpenAI「o1 System Card」2024年9月 / 三菱重工「o1活用エンジン設計検討」プレスリリース2024年 / OpenAI「o1 Reasoning Benchmark Results」2024年