2021年はスマートファクトリー元年――5G本格展開が製造現場を変える

2021年の幕開けとともに、製造業界では「スマートファクトリー元年」という言葉が飛び交い始めました。5Gの商用サービスが全国的に広がりを見せるなか、製造現場でのリアルタイムデータ活用と自動化の波が一段と高まっています。

5G×スマートファクトリーが生み出す新たな製造パラダイム

5Gが製造現場にもたらす最大のメリットは、超低遅延・大容量通信による「つながる工場」の実現です。従来の有線LANや4G環境では難しかった高精細カメラ映像のリアルタイム解析、多数のIoTセンサーの同時接続、そしてAGV(自動搬送車)の高精度制御が可能になります。ドイツのシーメンス社は2020年末、5G対応のスマートファクトリーで生産効率を従来比で30%以上向上させたと発表。日本でもトヨタ自動車やパナソニックが5Gを活用した工場実証実験を本格化させています。また、クラウドとエッジコンピューティングを組み合わせることで、工場内の判断はエッジで瞬時に、分析・最適化はクラウドで、という役割分担が明確になってきました。

スマートファクトリー化に向けた国内企業の取り組み状況

経済産業省の調査によると、国内製造業の約60%がスマートファクトリー化に向けた取り組みを開始または計画していることが明らかになっています。特に大手自動車メーカーや電機メーカーを中心に、設備稼働データのリアルタイム収集・分析基盤の整備が進んでいます。一方、中小製造業では資金・人材の不足から取り組みが遅れており、この「DXデバイド」が産業全体の課題となっています。政府は2021年度の補正予算にスマートファクトリー推進のための支援策を盛り込み、中小企業のデジタル化を後押しする方針です。

Harryの着眼点

5Gとスマートファクトリーの組み合わせは、間違いなく製造業の次のステージを開く鍵です。しかし、技術を導入するだけでは不十分で、「何のためにデータを取り、何を最適化するのか」という目的の明確化が先決です。デジタル化は手段であり、目的は生産性向上と品質向上、そして従業員の働きやすい環境づくりにあります。日本の製造業の強みである「ものづくり現場の知恵」をデジタルと組み合わせることで、世界に負けない競争力を生み出せると確信しています。

出典:経済産業省「2020年版ものづくり白書」/ シーメンス社プレスリリース「5Gスマートファクトリー実証結果」2020年12月

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